第1253号 地方財政の充実・強化に関する意見書
議決年月日:令和7年10月9日
議決結果:可決
議第 4 号
地方財政の充実・強化に関する意見書(案)
本格的な人口減少社会の到来と東京圏への人口集中により、地方では地域活動の担い手不足や地域公共交通の衰退、医療機関や介護事業所の経営状況の悪化などの課題が顕在化し、住民が安心して暮らすこと自体が脅かされている。
住民生活を支える自治体の業務は複雑・多様化し、業務量も増加しているが、多くの自治体では専門職を中心に人材確保が困難となっており、保健や福祉のほか、インフラの維持、災害対応等への深刻な影響が懸念されている。
また、今年、米国が講じた一連の関税措置は、我が国の主要な輸出産業や関連する中小企業への影響が不透明であり、地域経済を守るためのあらゆる対策を講じていくことが求められている。
自治体を取り巻く環境が大きく変わる中、地域の多様な実情に即した質の高い公共サービスを持続的に提供するためには、地方分権の推進と、その基盤となる地方財政の確立が不可欠であり、地方の役割と責任に見合った十分な税財源を確保し、税収が安定的な地方税体系と地方が自由に使える財源の拡充につながる地方税財政制度を構築する必要がある。
地方自治体がそれぞれの地域の実情に応じたきめ細かい行政サービスを十分に担えるよう、より積極的な一般財源総額を確保し、社会全体として求められている賃上げ基調にも相応する人件費の確保を含めた地方財政を実現するよう求める。
よって、国においては、次の事項に取り組むよう強く要望する。
記
1 社会保障の充実、地域活性化、自治体DX、脱炭素化、物価高騰対策、防災・減災、地域公共交通の再構築など、増大する地方公共団体の財政需要を的確に把握するとともに、それを支える人件費を重視しつつ、現行の水準にとどまらない、より積極的な地方財源の確保・充実を図ること。
2 とりわけ、子育て支援、医療・介護提供体制の確保、生活困窮者の自立支援など、より高まりつつある社会保障ニーズが自治体の一般行政経費を圧迫していることから、引き続き、地方単独事業分も含めた十分な社会保障経費の拡充を図り、これらの分野を支える人材確保に向けた自治体の取組を十分に支える財政措置を講じること。
3 自治体業務システムの標準化・共通化に向けては、その移行に係る経費はもとより、移行の影響を受けるシステムの改修経費やシステム運用経費まで含め、必要な財源を補填すること。
4 自治体の行う事業において、労務費の適切な価格転嫁が果たされるよう、必要な財政支援を行うこと。
5 米国の関税措置が我が国の経済に与える影響を踏まえ、物価高対策を始めとした経済対策を速やかに実施するとともに、今後の影響に備えた万全の対策を講じること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年10月9日
栃木県議会議長 池 田 忠
内 閣 総 理 大 臣
総 務 大 臣
財 務 大 臣
厚 生 労 働 大 臣
経 済 産 業 大 臣
国 土 交 通 大 臣
デ ジ タ ル 大 臣
経済再生 担当大臣
内閣府特命担当大臣
(地方創生)
衆 参 両 院 議 長