第1254号 我が国における食料安全保障の根幹を担う農産物の安定供給かつ持続可能な生産の確保を求める意見書
議決年月日:令和7年10月9日
議決結果:可決
議第 5 号
我が国における食料安全保障の根幹を担う農産物の安定供給かつ持続可能な生産の確保を求める意見書(案)
令和6年6月5日に、農政の基本理念や政策の方向性を示す、改正食料・農業・農村基本法が施行され、食料安全保障の確保、環境と調和のとれた食料システムの確立、多面的機能の発揮、農業の持続的な発展とその基盤としての農村の振興を理念として掲げ、国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展を図ることとされた。
しかし、その矢先に我が日本国民の主食である「お米」が猛暑による減収、インバウンド需要の回復による消費拡大、そして長期的な減反政策とそれに伴う構造的な供給不足、さらには消費者の不安からくる買い占めや市場の流通システム等が複合的に絡み合い「令和の米騒動」が起こり、政府対応としては「備蓄米」の放出により緊急的措置はされたものの、改正食料・農業・農村基本法の理念や目的を果たせる施策はいまだ打ち出されていない。
また、米に限らず、麦や大豆などの穀物、野菜や果樹などの園芸作物も気候変動による影響を受けており、生産者の生産意欲の低下にもつながっていると考えられ、農業大国である日本として国民の食料を確保する上で農業全体の持続的生産体制の確立を早急に進める必要がある。
そして、新たな食料・農業・農村基本計画に基づき、「生産性の抜本的向上による食料自給力の確保」、「国民一人一人の食料安全保障の確保」、「総合的な農村振興」及び「きめ細やかな中山間地域等の振興」等に向かい、安定した生産供給体制と物流及び販売の適正化、持続的生産意欲の醸成、生産環境の整備を早急かつ適正に制度設計する必要があると考える。
よって、国においては、次の事項に取り組むよう強く要望する。
記
1 物価高騰や気候変動等による不安定な生産環境を改善し、持続可能かつ安定的な生産体制及び生産者の意欲向上を図れるよう、生産コストを反映した米を含む農産物価格保障制度の構築に努めること。
2 農業者の担い手不足は大きな課題であり、限られた人材の中で生産体制を維持向上させるため、受益者負担を負うことのない生産基盤(ほ場・水路・基地局・農道等)の整備推進とスマート農業機器導入に係る財政的支援の拡充を図ること。
3 農地、水源、水利の確保及び維持は、食料安全保障のみならず生態系や国防など幅広い観点からも重要であり、外国人及び外国籍企業等への土地売買及び権利譲渡の制限に対する法制化を図ること。
4 日本における農業の約95%は家族経営であり、この方達は先祖代々の土地を守りつつ、地域の担い手として国民の食料供給に寄与し続けているが、施設及び機械等の更新や生産面積等を拡充できない小規模農業者や親元就農者への支援は十分とは言えず、永続的な生産を図れるよう財政的支援を図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年10月9日
栃木県議会議長 池 田 忠
内 閣 総 理 大 臣
総 務 大 臣
財 務 大 臣
農 林 水 産 大 臣
衆 参 両 院 議 長